1台帳が特許庁の記録とずれるきっかけ(合併・組織変更・担当の交代)
特許料(年金)の台帳は、作った時点では特許庁の記録と一致しています。ずれるのは、その後に起きる出来事を台帳に反映し損ねたときです。典型は、権利者の合併・社名変更・組織変更に伴う名義の変更、譲渡や持分の移転、担当者の交代に伴う引き継ぎ漏れ、管理システムの入れ替えに伴う転記の誤りです。
特許料の納付手続は、弁理士でなくても代理できる手続として政令に明記されています(弁理士法施行令第7条第1号)。そのため年金の納付は、事務所・企業の知財部・年金管理の会社と、複数の主体に分かれて行われることが多く、「誰が納めるか」の認識の食い違いが、台帳のずれの原因になります。
ずれたまま期限を迎えると、追納・割増・回復という順に費用が増えます。点検の目的は、ずれを期限の前に見つけることです。
2突き合わせる5つの項目
台帳と特許庁の記録を突き合わせる項目は、次の5つです。
- 権利の状態(存続・消滅・放棄・満了)と、消滅している場合はその日付
- 権利者の名称・住所(合併・社名変更が反映されているか)
- 納付済みの年分(第何年分まで納付したか)と、次に納める年分
- 次の納付期限(第4年以後の各年分は前年以前に納付。特許法第108条第2項)
- 請求項の数(特許料は1請求項ごとの加算額を含むため、訂正で請求項が減った場合は額が変わる。特許法第107条第1項)
5つのうち、見落とされやすいのは最後の2つです。納付期限は「納付の年の末日」ではなく「前年以前」であること、請求項の数が訂正審判や無効審判の結果で変わりうることは、台帳の設計時に想定されていないことがあります。
第1年から第3年までの特許料は、特許査定の謄本送達日から30日以内に一時に納めます(同条第1項)。この分の納付が無ければ設定登録そのものがされないので、点検の対象になるのは第4年分以降です。
3特許庁の公開情報で確かめる手順
特許庁の記録は、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)の経過情報で確かめられます。手順は、台帳の1件ごとに登録番号で検索し、権利の状態・権利者・納付済みの年分・最新の登録事項を表示し、台帳の値と1項目ずつ比べる、というものです。
件数が多い場合は、台帳を登録番号順に並べ、上から順に全件を見ます。「重要な権利だけ」「期限が近いものだけ」に絞ると、絞った条件の外にあるずれ(例えば放棄したつもりで納付を続けている権利)は見つかりません。全件を見るのは、ずれの場所が事前に分からないからです。
比べた結果は、一致・不一致・判定不能(公開情報に表示が無い、更新が反映されていない)の3つに分け、不一致と判定不能の件だけを一覧にします。判定不能の件は、特許原簿の謄本の請求で確かめる手があります。
特許料の額そのものは、特許庁の「産業財産権関係料金一覧」で確かめます。2004年4月1日以降に審査請求をした出願の特許料は、次のとおりです(1件・各年、請求項の数による加算を含む)。
- 第1年から第3年まで 毎年 4,300円+(請求項の数×300円)
- 第4年から第6年まで 毎年 10,300円+(請求項の数×800円)
- 第7年から第9年まで 毎年 24,800円+(請求項の数×1,900円)
- 第10年から第25年まで 毎年 59,400円+(請求項の数×4,600円)
4期限を過ぎたときの追納と回復の費用
第4年以後の特許料を期限内に納められなかったときは、期限の経過後6か月以内に追納できます(特許法第112条第1項)。追納するときは、本来の特許料に加えて、同額の割増特許料を納めます(同条第2項)。つまり、期限を1日でも過ぎると、その年分の費用は2倍になります。
追納の期間も過ぎてしまうと、特許権は本来の納付期限の経過時にさかのぼって消滅したものとみなされます(同条第4項)。この後に残る道が「回復」です。故意に納めなかったと認められる場合を除き、納められるようになった日から2か月以内で、追納期間の経過後1年以内に限り、特許料と割増特許料を追納して回復を申請できます(第112条の2第1項、特許法施行規則第69条の2第1項)。申請には回復理由書の提出が要り(同規則第69条の2第2項)、回復手数料は特許1件につき212,100円です(特許庁の料金一覧)。
回復した特許権には、効力の制限があります。追納期間の経過後から回復の登録前までに輸入・生産・取得された物や、その間の実施には、回復した特許権の効力が及びません(第112条の3)。つまり回復しても、空白の期間に第三者が始めた実施は止められないことがあります。
費用の順序をまとめると、期限内なら特許料のみ、6か月以内なら2倍、それを過ぎると2倍に回復手数料を加えた額と、回復理由書の作成の手間がかかります。台帳の点検にかける費用は、この順序と比べて決めることになります。
5点検を所内でする場合・外に出す場合
所内で点検する場合は、上の5項目の表を台帳から作り、J-PlatPat で1件ずつ確かめ、結果を3分類で記録する、という手順になります。100件なら、1件あたりの照会と転記の時間に100を掛けた時間が要ります。年に1回、担当の交代や合併の直後に行うのが、ずれの発生のきっかけに合っています。
外に出す場合は、依頼先に渡すのは台帳(登録番号・権利者・納付済み年分・次回期限・請求項数)だけで済みます。納品物は、不一致と判定不能の一覧と、全件の照合結果の記録です。特許料の納付そのものを依頼先に任せるかどうかは、別の判断です。
台帳の総点検を当社に出す場合の料金と納期は、この記事の末尾の案内のとおりです。
6参照
この記事で確かめた一次情報です(法令は e-Gov 法令検索の現行版)。
この作業を外に出す場合 台帳の総点検は基本 33,000円(税込)+1件220円(予定)・5営業日です。まず台帳の点検の見積(無料)から、届くものを確かめてください。
まず、公開番号を1つ送ってください。
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