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特許の年金を納め忘れたとき: 回復の条件と費用
特許料の納付期限、期限後6か月の追納と割増特許料、追納期間を過ぎたときの消滅、回復の条件(故意でないこと)と申請の期間、回復手数料と効力の制限。
1特許料の納付期限(第1〜3年と第4年以降)
特許料(年金)の納付期限は、特許法第108条で2段階に決まっています。第1年から第3年までの分は、特許査定(または審決)の謄本の送達日から30日以内に、一時に納めます(第1項)。第4年以後の各年分は、前年以前に納めます(第2項)。
第1年から第3年までの期限は、請求により30日以内の延長ができ(第3項)、納める者の責めに帰することができない理由で納められなかったときは、理由がなくなった日から14日(在外者は2か月)以内で、期限の経過後6か月以内に納められます(第4項)。
台帳で管理する対象の多くは、第4年以後の年分です。特許料の「各年」は、特許権の設定登録の日から数えます(第107条第1項)。暦年ではないので、台帳の期限の欄を年の末日で持っていると、毎年、期限を過ぎてから納めていることになります。
2期限を過ぎてから6か月は追納できる(割増特許料)
第4年以後の特許料を期限内に納められなかったときは、期限の経過後6か月以内に追納できます(特許法第112条第1項)。追納するときは、本来の特許料に加えて、同額の割増特許料を納めます(同条第2項)。
割増特許料が不要になるのは、納める者の責めに帰することができない理由で期限内に納められなかった場合だけです(同項ただし書)。担当者の失念や台帳の誤りは、この例外には通常当たりません。
追納の期間内であれば、権利は途切れずに続きます。この6か月は、台帳のずれに気づいてから費用を2倍で止められる最後の期間です。
3追納期間も過ぎたとき: 権利は期限の経過時にさかのぼって消滅
追納の期間内に特許料と割増特許料を納めなかったときは、特許権は、本来の納付期限の経過時にさかのぼって消滅したものとみなされます(特許法第112条第4項)。消滅の日は、追納期間の末日ではなく、もとの期限の日です。
納付が猶予されていた特許料を追納期間内に納めなかった場合は、特許権は初めから存在しなかったものとみなされます(同条第6項)。
消滅した事実は特許庁の記録に反映され、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)の経過情報で確かめられます。台帳の点検で「存続」と記録されている権利が、公開情報では「消滅」になっている、というずれは、この段階で見つかることが多いものです。
4回復の条件(故意でないこと)と申請の期間
追納期間も過ぎて消滅した特許権には、回復の手続があります(特許法第112条の2)。条件は、追納期間内に納めなかったことが「故意」によると認められないことです(第1項ただし書)。
申請の期間は、特許料と割増特許料を納められるようになった日から2か月以内です。ただし、その2か月の末日が追納期間の経過後1年を超えるときは、追納期間の経過後1年までです(特許法施行規則第69条の2第1項)。この期間内に、特許料と割増特許料を納め、回復理由書を提出します(同条第2項)。特許庁長官は、回復理由書に書かれた事項を証明する書面の提出を命じることができます(同条第3項)。
回復が認められると、特許権は、もとの納付期限の経過時にさかのぼって存続していたものとみなされます(第112条の2第2項)。ただし、次の節に書く効力の制限が付きます。
「故意でない」に当たるかどうかの判断や、回復理由書に何を書くかは、個別の案件の事情によります。この記事では条文と期間の説明にとどめ、個別の判断は弁理士である貴所に委ねます。
5回復にかかる費用(特許料・割増特許料・回復手数料)
回復の申請にかかる費用は、3つに分かれます。納め忘れた年分の特許料、同額の割増特許料、そして回復手数料です。回復手数料は、特許庁の料金一覧で特許1件につき212,100円と定められています。
特許料の額は、2004年4月1日以降に審査請求をした出願について、次のとおりです(1件・各年、請求項の数による加算を含む)。
- 第1年から第3年まで 毎年 4,300円+(請求項の数×300円)
- 第4年から第6年まで 毎年 10,300円+(請求項の数×800円)
- 第7年から第9年まで 毎年 24,800円+(請求項の数×1,900円)
- 第10年から第25年まで 毎年 59,400円+(請求項の数×4,600円)
費用の順序を並べると、期限内なら特許料のみ、期限後6か月以内なら特許料の2倍、追納期間を過ぎたら特許料の2倍に回復手数料を加えた額、になります。回復手数料は、特許料の年分や請求項の数にかかわらず1件あたりの定額なので、特許料が小さい若い年分の権利ほど、回復の費用は相対的に重くなります。
これに加えて、回復理由書の作成と、証明する書面の準備の手間がかかります。弁理士に依頼する場合は、その費用も別に要ります。
6回復した権利の効力が及ばない範囲
回復した特許権には、効力の制限があります(特許法第112条の3)。物の発明の特許では、追納期間の経過後から回復の登録前までに、輸入され、国内で生産され、または取得された物には、特許権の効力が及びません(第1項)。
同じ期間の、発明の実施そのもの、物の生産に用いる物の生産・譲渡等・輸入、方法の使用に用いる物の生産・譲渡等・輸入、生産した物を譲渡等や輸出のために所持する行為にも、効力が及びません(第2項)。
つまり回復は、権利を元に戻しますが、空白の期間に第三者が始めた事業を止める力までは戻しません。納め忘れの費用は、回復手数料だけでなく、この空白の期間の分も含めて考えることになります。
7失効を防ぐ台帳の持ち方
回復の手続は、条件と期間と費用のどれをとっても、期限内の納付より重いものです。台帳の側でできることは、期限の欄を「前年以前」の正しい日付で持つこと、納付済みの年分と次回の年分を毎回更新すること、合併・社名変更・担当の交代があった直後に全件を特許庁の公開情報と突き合わせること、の3つです。
突き合わせの手順は、別の記事「特許の年金・期限の台帳を点検する手順」に書きました。点検は所内でもできます。全件を外に出す場合の納品物は、不一致と判定不能の一覧と、照合の記録です。
台帳の総点検を当社に出す場合の料金と納期は、この記事の末尾の案内のとおりです。
8参照
この記事で確かめた一次情報です(法令は e-Gov 法令検索の現行版)。
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