トップ / 解説 / 特許翻訳の料金の相場と、チェックだけを頼むときの費用
特許翻訳の料金の相場と、チェックだけを頼むときの費用
特許翻訳の料金が会社ごとに違って見える理由(数え方が3通り)、見積を比べるときに揃える条件、翻訳をせずに照合だけを頼むときの費用の考え方。
1「相場」の数字がひとつに決まらない理由(数え方が3通り)
特許翻訳の料金を調べると、会社ごとに単価の数字が大きく違って見えます。違いの多くは、翻訳の質ではなく、数え方の違いから来ています。料金の数え方は、おおむね次の3通りです。
- 原文(日本語)の文字数で数える。見積の時点で額が確定する
- 訳文(英語)のワード数で数える。訳し上がるまで額が確定しない
- 原文のページ数や請求項の数で数える。短い案件に最低料金が付くことが多い
同じ案件でも、日本語1文字あたりの単価と英語1ワードあたりの単価は、そのままでは比べられません。日本語の文字数と英語のワード数の比率は、技術分野と文体で変わるためです。見積を比べるときは、まず数え方を揃え、同じ原稿で総額を出してもらうのが確実です。
「相場」として広く引用される数字は、業界団体や翻訳会社の調査に基づくもので、公的な一次情報としては公表されていません。この記事では、外部の調査の数字は引かず、見積を比べるための条件と、費用の構造だけを書きます。
2見積を比べるときに揃える5つの条件
数え方の次に揃えるのは、何が料金に含まれているかです。次の5点を見積書で確かめると、総額の比較ができます。
- 対象の範囲: 明細書・請求の範囲・図面の中の文字・要約のどこまでか(PCT規則49.5は、翻訳文に含める要素としてこの4つを挙げています)
- 人の確認の有無: 翻訳者とは別の人が全文を照合するか、翻訳者自身の見直しだけか
- 用語集の扱い: 貴所や依頼人の用語集を使うか、使う場合に追加料金があるか
- 納品後の修正: 貴所が指摘した誤りの修正は料金に含まれるか、何日以内か
- 納期と特急料金: 標準の納期と、短縮したときの加算の率
もうひとつ、資料の扱いも見積と同時に確かめます。機械翻訳や文章生成のサービスに原稿を送るか、送るなら学習に使われない契約か、納品後に原稿をいつ削除するか、の3点です。料金が安い見積は、このどれかが抜けていることがあります。
3翻訳に含まれるもの・含まれないもの(PCT規則49.5の要素)
外国に出す翻訳文に何を含めるかは、出願先の法令で決まっています。PCT出願を国内段階に移行するときは、優先日から30か月以内に翻訳文を提出するのが条約上の期限で(PCT第22条)、日本に移行する場合の国内書面提出期間も優先日から2年6か月です(特許法第184条の4第1項)。翻訳文の内容は、明細書・請求の範囲・図面の文字部分・要約です(PCT規則49.5(a))。
米国に英語以外の言語で非仮出願をした場合は、英語の翻訳文と、翻訳が正確である旨の陳述と、所定の手数料が必要で、翻訳は逐語訳であることが求められます(37 CFR 1.52(d)、MPEP 608.01)。英語として自然にするための手直しは、翻訳文とは別に、新規事項を加えない範囲で予備的補正として出すものとされています。
この2つの決まりから、翻訳の見積で「含まれるべきもの」が決まります。図面の文字と要約が別料金になっている見積、逐語訳と英語の手直しを区別していない見積は、総額が後で増えやすい見積です。
4チェックだけを頼むときの費用の考え方
翻訳をすでに所内か翻訳会社で済ませていて、出願前に別の目が欲しい場合は、翻訳ではなく「照合」を頼む選択があります。照合は、原文と訳文を全件突き合わせ、用語の揺れ・数値と符号の不一致・請求項の従属の誤り・訳抜けを一覧にして返す作業で、訳文そのものは直しません。直すかどうかは貴所が決めます。
照合の費用は、翻訳の単価と同じ基準では見積もれません。翻訳は文字数に比例しますが、照合は、用語表と数値表を作る固定の手間と、文の対応を取る文字数に比例する手間の合計になるためです。見積では、1件あたりの料金に、請求項の数と明細書の文字数の上限が付いているかを確かめます。上限を超える分の扱いも、同時に確かめます。
翻訳と照合を同じ会社に頼むと、照合する人が訳した人と同じになることがあります。見積で「翻訳者とは別の人が全文を照合する」と明記されているかは、前の節の5条件のひとつとして確かめておきます。
5誤訳が後から見つかったときにかかる費用(補正の制限)
翻訳の費用を考えるときは、誤訳が出願後に見つかった場合の費用も並べておきます。日本に外国語書面出願をした場合、誤訳を直す補正には理由を記した誤訳訂正書が要り(特許法第17条の2第2項)、誤訳訂正書によらない補正は、翻訳文に記載した事項の範囲内でしかできません(同条第3項)。
米国では、翻訳文そのものが審査の対象で、公開される文書も翻訳文です(MPEP 608.01)。英語の手直しは新規事項を加えない範囲の補正として出すものとされており、原文にあって訳文に無い記載を後から足せるかは、個別の判断になります。
つまり、出願前に見つけた誤りは訳文の修正だけで済みますが、出願後に見つけた誤りは、補正書の作成と、補正が認められる範囲の検討という弁理士の仕事が加わります。照合の費用は、この差と比べて決めることになります。
6所内で見積を取るときの手順
見積を取る手順は、次のとおりです。まず、原稿(日本語)の文字数・請求項の数・図面の枚数・図面の中の文字の有無を数えます。次に、前の節の5条件と資料の扱いの3点を書いた依頼書を作り、同じ原稿で2社以上に総額の見積を求めます。最後に、数え方を揃えて総額で比べ、人の確認の有無と修正の条件で並べ替えます。
翻訳をすでに済ませていて照合だけを頼む場合は、原文と訳文の両方を渡し、納品物が「指摘の一覧と照合の記録」であることを確かめます。訳文を直す作業が含まれていれば、それは照合ではなく手直しの見積です。
出願前の英訳の照合を当社に出す場合の料金と納期は、この記事の末尾の案内のとおりです。
7参照
この記事で確かめた一次情報です(法令は e-Gov 法令検索の現行版)。
この作業を外に出す場合 出願前の照合は1件 27,500円(税込)(予定)・3営業日です。まず公開番号1つの無料の照合から、届くものを確かめてください。
まず、公開番号を1つ送ってください。
公開済みの公報だけで照合します。無料・1事務所1回・3営業日。守秘の契約も原稿も要りません。